Taro Yoshida BLOG吉田太郎のブログ
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5月2023
重説の記載内容の解釈について
CATEGORY | 法律・資格
現在契約予定の新築マンションを仲介してくれた客付会社から、弊社で作った重要事項説明書(以下「重説」)について修正依頼がありました。
①「未完成物件」について、建物が完成しているのに未完成にしているのはおかしい
②「損害賠償額の予定または違約金に関する事項」について、契約書第20条(延滞損害金)の文言を加筆してほしい
③ハザードマップについて、「津波は未指定」を加筆してほしい
私も一応宅建士ですので、根拠や合理性をもって相手方に説明しました。
まず①について。
以前私も同じようなことを考えたことがあったので、宅建協会の顧問弁護士に相談したことがあります。
(ちなみに協会に加入している不動産会社は無料で問い合わせできるので、私は結構利用させてもらってます)
質問の内容は「外観上は出来上がっているけど、施主に引き渡し前であるのと、所々でまだ工事をしている状態の建物は完成物件か否か」。
弁護士の回答は「まだ工事をしている以上、完成しているとは言い切れない」でした。
私は「弁護士の見解を根拠に『未完成』と表示して設計図書を添付している」と回答し、客付は納得しました。
次に②について。
重説で定めた内容は以下のとおり。
契約開始日から1年以内の契約期間内に、借主の申し入れにより本契約を解除した場合、または借主の責めに帰すべき事由により本契約が解除された場合は、借主は、免除となった賃料及び共益費を貸主に支払わなければなりません。
本契約はフリーレント付き物件で、文面を要約すると「1年以内に退去したらフリーレント分は返金してね」という感じですね。
客付はこの内容からさらに、契約書第20条に書いてある…
乙は、本契約より生じる金銭債務の支払いを遅滞したときは、年(365日あたり)14.6%の割合による延滞損害金を支払うものとする。
…を加筆してほしいとのこと。
具体的には書きませんが重説と契約書はリンクした文面になってますので、仮に重説または契約書に書かれてないのであれば加筆する必要があると思います。
でも契約書に「払うものを払わなかったらペナルティね(意訳)」と書いてあるのに、何でまた重説に書かなきゃいけないのか、私は理解できませんでした。
だから客付に対して…
「契約書に書いてある内容をまた書く理由は何ですか?」
…と尋ねましたが、相手は「いや~…」としか言えず具体的な回答できませんでした。
いくら聞いても答えてくれないので「会社のルールでそうなってるのか?」と聞いたら、どうやらそのようでした。
そして最後に③。
重説ではハザードマップを添付して、所在地が水害エリアか否かを説明する義務がありますが、その前段で「造成宅地防災区域か否か」「土砂災害警戒区域か否か」「津波災害警戒区域か否か」を説明します。
23区は津波災害警戒区域外なので「■外 □内」と外を黒くしてます。
その次にハザードマップの説明をしますが、客付はこのハザードマップの欄に「津波未指定」を加筆してほしいと言ってきているのです。
前段で説明していることを後段でもまた書く理由が分からなかった私は…
「津波災害警戒区域外って既に説明しているのに何故書く必要があるのですか?」
我ながら理屈っぽくて嫌な性格だなーと思いつつも、どうしても納得できなかったので尋ねてみましたが、案の定回答できず…
さらに掘り下げて聞いてみると、どうやら社内で作成したチェックシートに②や③が書いてあるそうで、それに則って修正依頼をしてきたようです。
これは私の推測ですが、過去にトラブルがあったので改善策としてチェックシートに入れた…ってところではないでしょうか…
個人的には納得いかない部分が多いですが、「そうした方がいいのかなー」と考えるきっかけになったのは事実です。
ウチでもカイゼン委員会(最近開催できておらずゴメンナサイ)やってますので、この対応を次へ活かしていきたいって思う今日の出来事でした。