Taro Yoshida BLOG吉田太郎のブログ
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7月2021
東大周辺のワンルーム賃貸事情(後編)
CATEGORY | 賃貸の市況
前回のブログでは 「東大周辺の賃貸は特殊で、貸主はその恩恵をずっと受けていた」 というお話をしました。
今回は、その特殊性からコロナでどのように変わってしまったのかをお話しします。
※今回は後編です。
■上京予定の東大生が上京しなくなった
緊急事態宣言で人流が抑制されました。
企業はテレワークへ、学校はオンライン授業へ移行し始めました。
当然東大もそれに対応するわけですが、大学に行かなくても授業が受けられるということは、パソコンとネットさえあればどこでも授業が受けられるということです。
人の移動が制限されれば、殆どの人は自宅で仕事をしたり授業を受けます。
つまり オンライン授業により東大のそばで部屋を借りる必要がなくなった のです。
東大周辺の賃貸は貸し手市場なので、賃料設定も高めです。
今まで高い家賃を払ってでも東大周辺に住みたかったのは、夜遅くまで研究室にこもってもすぐに帰宅できるから でした。
それがコロナにより大学自体に行かないのです。
大学に行かないのであれば近くに部屋を借りる理由がありませんので、皆さん退去したり、入居予定だった契約をキャンセルしたりするわけです。
実際に弊社管理物件でも上記のことが何件も発生しており、地場の不動産会社と情報交換すると同じようなことを言ってました。
■今までの経験が対応の妨げに
エリアにより一概には言えませんが、現在の賃貸は借り手市場だと思ってます。
そのような厳しい市場で賃貸経営されている方は情報収集もするでしょうし変化にも敏感でしょうから、どうやったら部屋を借りてもらえるかという思考が働きやすいと思います。
では 東大周辺はどのような市場だったかというと完全な貸し手市場 です。
敷金礼金はしっかり取れるし、広告宣伝費も払わずに入居者が決まります。
空室にならないので家賃を下げる必要もありませんし、壊れない限り設備の入れ替えもしません。
いい経験をずっとすると、家賃減額や広告費の支払い、設備投資など、貸主の持ち出しとなるようなことをすることに抵抗があり、変化への対応も遅れてしまいます。
■生活様式の変化
テレワークやオンライン授業をするということは、基本的にずっと部屋の中にいることになります。
複数部屋があれば、仕事用または勉強用の部屋を作ることで気持ちの切り替えができますが、ワンルームであればそれはしづらいです。
ずっと狭い部屋にいることはとても息苦しくなります。
そのせいか 今は複数部屋がある物件にニーズがあります 。
東大周辺は学生向けのワンルームに特化している傾向がありますので、生活様式の変化が直撃した形となったのです。
また、ワンルームを1DKにはできませんので、物理的にニーズに対応できない という問題もあるわけです。
■貸主の高齢化
少子高齢化が賃貸でも問題となっておりますが、東大周辺の賃貸経営でもそれは言えます。
東大周辺で賃貸経営をしている方は昔から住んでいるご年配の方が多く、昨今の変化に対応できていない傾向があります。
賃貸経営のための情報収集をしているご高齢の貸主は、いらっしゃっても一握りなのではないでしょうか。
■変化に対応する
これは私見ですが もうコロナ前のような生活には戻らない と思ってます。
生活様式も変わり、働き方も変わり、常識も変わりました。
東大周辺の賃貸も同様で、黙って部屋が決まる時代は終わりました 。
各オーナーさんは今までの考え方は捨てて、今の変化に即した動きをしなければ生き残れないでしょう。
必要であれば設備投資もしなければいけませんし、市場相場に合わせた賃料設定も必要でしょう。
弊社管理オーナーさんに対しては定期的に情報発信しておりますが、残念ながら全部のオーナーさんに浸透していないと思いますので、もしこの記事を読まれたオーナーさんがいらっしゃれば、何かのきっかけになっていただけると嬉しいです。