Taro Yoshida BLOG吉田太郎のブログ
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8月2021
2020年4月改正民法と賃貸借への影響について・後編
CATEGORY | 不動産に関する法律
お盆休みも終わったのでブログ復活です!
休み中にリノベ物件動画をアップしておりますので是非ご覧ください!
—–以下、ブログネタです—–
2020年に改正された民法が賃貸借にどれくらい影響あるのか個人的な視点で書いておりますが、今日は3回目(最終回)となります。
1. 敷金及び原状回復のルールの明確化(★★~★★★)
2. 建物の修繕に関するルールの創設(★★~★★★★)
3. 保証人の保護に関するルールの義務化(★★★★★)←今日はココ
※1回目、2回目はこちら
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3. 保証人の保護に関するルールの義務化
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3 保証人の極度額設定(重要度★★★★★)
【改正前】
■保証契約は書面のみ有効
■保証の極度額(上限)設定なし
【改正後】
■極度額を書面にて設定
■極度額以上の保証はできない
■極度額の設定がない保証契約は無効
【具体例】
■賃料10万円・極度額設定なしの賃貸借契約を民法改正前に締結したケース
① 債務が130万円あった場合、全額保証されます
② 債務が60万円あった場合、全額保証され、保証額が目減りすることはありません
■賃料10万円、極度額100万円の賃貸借契約を民法改正後に締結したケース
① 債務が130万円あった場合、極度額を超えた30万円は保証されません
② 債務が60万円あった場合、極度額100万円-債務60万円=残保証額40万円となります
③ ②の後に債務が60万円あった場合、残保証額40万円-債務60万円=20万円不足となり、不足分は保証されません。
④ ③の時点で極度額を超えているため、その後に発生した債務は一切保証されません
■民法改正後の更新手続きのケース
① 極度額が設定されてない書類で更新した場合は保証されません
② 極度額が設定されている書類で保証人との間で合意がなければ保証されません
【コメント】
今回の改正で賃貸借において一番影響ある変更点だと思います。
貸主・管理会社が今後の契約更新手続きについて非常に注意して対応しなければいけません。
仮に賃料10万円、極度額240万円(賃料24か月分≒保証会社に加入した場合の保証範囲)とした場合、大抵の人は240万円の連帯保証人をお願いされたら躊躇し、もしかしたら連帯保証人になってもらえない可能性すらあります。
今後の新規の賃貸借契約は全て保証会社必須にするなどの対応が必要でしょう。
また更新についても、万が一連帯保証人が極度額に合意しない場合は、後付けで保証会社に加入してもらう等の対応が必要です。
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今回の内容は、実務でも非常に重要な部分です。
自己管理している賃貸オーナーさんは契約書類や民法の改正点を改めてチェックすることを強くおススメします!
※法務省資料