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Taro Yoshida BLOG吉田太郎のブログ

04

12月2021

家賃滞納と明け渡し訴訟

CATEGORY |  クレーム・トラブル対応

毎月最初の土曜日は新宿区にある築古アパートの定期清掃に行きます。

 

 

以前もブログ内でちょこっとご紹介しましたが、おかげさまで満室稼働でございます✌️

 

 

 

 

本物件は、弊社が管理を請け負って約7年経過しました。

 

賃貸物件ですからたまに入れ替えがありますが、その中で家賃滞納し続け、明け渡し訴訟に発展したとんでもないトラブルがありましたので、今回はそちらをご紹介したいと思います。

 

メインの登場人物は入居者Yさん(ご年配のおじいちゃん)で、弁護士や裁判官もちょこっと出てきます。

 

 

 

■滞納者との面会を試みる

 

Yさんは、弊社が管理受託を受けた時点で家賃6ヶ月分、合計約30万円の滞納をしておりました。

 

オーナーさんからは…

 

■可能であればYさんと交渉して、滞納分を回収してほしい

 

■回収不能な場合は訴訟もやむなし

 

…との依頼を受け、が対応することとなりました。

 

管理会社変更通知を各戸へ通知するために現地に赴き、Yさんに挨拶します。

 

 

こんにちは~、新しくアパートを管理することになりましたのでご挨拶に来ました。Yさんいらっしゃいますか~?

 

何じゃお前コラー!!お前なんかに用はないから帰れ!!

 

 

残念ながら初対面はこんなものなので、ある程度予想通りです。

 

もちろんこんなことでめげてはいられませんので、翌週に再度訪問しますが不在。

 

居留守を使われているようですが、

 

■貸主と管理会社が変更となった

 

■今後何かあれば私に連絡してほしい

 

・・・と手紙を書いてポストへ投函しました。

 

そして更に翌週アポ無しで訪問します。

 

 

 

■再訪問、そして面会。

 

(コンコン)Yさん、いらっしゃいますか~?またご挨拶に来ましたー。

 

(ガチャ)なんだ、またアンタか。置いてあった手紙は一応見たぞ。

 

見ていただきありがとうございます。半年近く家賃滞納してますが何かあったのですか?

 

もうここに住んで30年くらいになるだけど、畳がボロボロになってしまったので交換してほしいって前の管理会社にお願いをしたんだよ。でも全く取り合ってもらえなくてね。だから家賃の支払いを拒んでるんだ。

 

そうですか。でもそれだけでは滞納する理由にはなりませんよ?

 

それと長年住んでるから家賃も減額してほしいんだよ。昔の契約だから内容もあいまいだし。管理会社が変わったから改めて契約しなおしたいんだ。

 

 

Yさんの主張が納得できるものでは到底ありませんが、「会って話をする」という第一段階の目的は達成できたので一旦その内容を持ち帰り、オーナーさんにはYさんの状況を説明しました。

 

新たに賃貸借契約書を作成し、畳は交換することを承諾、但し滞納している家賃と今後の家賃をきちんと支払う旨の誓約書を交わすこととし、Yさんに書類を渡して期日に回収することとなりました。

 

しかし、その後は全く面会もできず、約束事も守られず、話し合いも拒否したため、いよいよ訴訟となりました。

 

 

 

■訴訟

 

明け渡し訴訟に強い「オーセンス法律事務所」というところに相談し、今後の対応を協議します。

 

 

オーナーさんは「当初は穏便に済ませようとしたが、話し合いを拒否された以上は費用がかかっても退去してもらう」というスタンスでしたので、直ぐに着手金を支払い、訴訟手続きに入りました。

 

 

訴訟にあたり裁判所へ提出する証拠を集めるために、弁護士と協力してが証拠集めをしました。

 

証拠として有効なものとしては・・・

 

①相手方とやり取りをしたメモ(時系列にまとめておくと〇)

 

②やり取りの中で作成した書類(契約書や誓約書等)

 

③会話の録音データ(無許可で録音したものではなく相手方に断って録音)

 

・・・などがあります。

 

当時の賃貸借契約書や弁護士から依頼を受けて調査した内容(Yさんが在宅している証拠として電気・ガス・水道メーターの使用状況の写真など)も証拠として役立ち、無事明け渡しの判決を勝ち取ることができました。

 

今回の件でかかった期間は、Yさんとの最初の接触から訴訟までに2ヶ月弱、訴訟→判決→明け渡しまで約5ヶ月、訴訟費用は総額100万円弱でした。(一般的に訴訟~明け渡しまで5~6ヶ月かかります)

 

 

 

■明け渡し日

 

明け渡し当日、弁護士とが立会い、裁判所の執行官により強制退去が断行され、裁判所が認めた搬出業者の作業員7~8人で室内の荷物が一気に搬出されました。

 

その場にYさんもいましたが、特に話しはせず、搬出作業を眺めておりました。

 

しばらくすると手に持てる程度の荷物を持って一人どこかへ行ってしまいました。

 

執行官・弁護士にYさんのことを聞いたところ、生活保護を受給することになり近くの新しい部屋へ引っ越したそうです。

 

 

 

■個人的に思ったこと

 

Yさんは当初に強くあたってきましたが、文句を言われても低姿勢で接し、常に「あなたの話しをは聞きますよ」という姿勢を見せました。

 

その結果Yさんに心を開いてくれ、約束事を取り付けることができました。

 

残念ながら何一つ守られませんでしたが、約束事を決めたこと、またそれを書面にしていたことが訴訟に「証拠」として役に立ち、スムーズに明け渡しまで進むことができました。

 

訴訟をせずに毎月きちんと払ってもらうのが当たり前ではありますが、万が一そのようになった時の参考例としてみていただければ幸いです。

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